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Clausius-Clapeyron(クラウジウス-クラぺイロンの)式
$$\frac{d Inp}{dT}=\frac{\triangle {}_{ vap } H}{RT^{ 2 }}$$
\(\triangle {}_{ vap } H\):モル蒸発潜熱[J/mol] R:気体定数[J/(mol・k)]
\(p\):純物質蒸気圧[Pa] \(T\):蒸気圧の時の温度→沸点[K]
- 気相-液相の相境界と気相-固相の相境界の位置と形状を理解するうえで重要な式
- 蒸気圧がどのように温度変化するか、沸点がどのように圧力でシフトするか予測できる
たとえば、蒸発エンタルピーが温度に依存しないと仮定するなら、クラウジウス-クラぺイロンの式は積分できる
$$\displaystyle \int_{Inp_{ 1 }}^{ Inp_{ 2 }} d Inp=\frac{\triangle {}_{ vap } H}{R}\displaystyle \int_{T_{ 1 }}^{ T_{ 2 }}\frac{dT}{T^{ 2 }} $$
これを解くと、
$$In\frac{p_{ 2}}{p_{ 1 }}=\frac{\triangle {}_{ vap } H}{R}\left( \frac{1}{T_{ 1 }} -\frac{1}{T_{ 2 }}\right)…(1)$$
\(p_{ 1 }\),\(p_{ 2 }\):状態1,2の純物質蒸気圧[Pa] \(T_{ 1 }\),\(T_{ 2 }\):状態1,2の温度[K](蒸気圧の温度→沸点)
この式を使って以下の例題を解くことができる。
【例題1】富士山頂上での水の沸点
気圧式とクラウジウス-クラぺイロンの式から、富士山頂上(3776m)での水の沸点は何度になるか求めなさい。ただし、高度の関数としての平均気温は、15℃であったとし、地上での沸点は373K、圧力は1atm、水のモル蒸発潜熱は4.07×10⁴J/mol、空気の平均分子量は28.8g/mol、重力加速度は9.8m/s²とする。
※気圧式は、\(p=p_{ 0 }e^{ \frac{-Mgh}{RT} }\)…(2) (\(p\):標高hのときの圧力 \(p_{ 0 }\):h=0の圧力)
気圧式の導出方法はこちらのリンクから(後日作成予定)
解き方のポイント
- (2)の式と、(1)の式から、富士山頂上での圧力の値を消去する。
- 1で求めた式に数値を代入して富士山頂上での沸点の値を求める。
解答
\(p_{ 1 }\)と\(T_{ 1 }\)を地上での値、\(p_{ 2 }\)と\(T_{ 2 }\)を富士山頂上での値とする。
(1)式と(2)式から\(p_{ 2 }\)を消去する。
\(p_{ 1 }=1atm\)で、沸点が\(T_{ 1 }=373K\)ならば、温度\(T_{ 2 }\)出の蒸気圧\(p_{ 2 }\)は、
$$In\frac{p_{ 2}}{1}=\frac{\triangle {}_{ vap } H}{R}\left( \frac{1}{373} -\frac{1}{T_{ 2 }}\right)…(3)$$
気圧式は\(p_{ 2 }=p_{ 1 }e^{ \frac{-Mgh}{RT} }\)で、すなわちこの場合、\(p_{ 2 }=e^{ \frac{-Mgh}{RT} }\)で(3)式に代入する。すると、
$$\frac{-Mgh}{T}=\triangle {}_{ vap } H\left( \frac{1}{373} -\frac{1}{T_{ 2 }}\right)$$
という式が得られるので、数値を代入して答えを求める。
$$\(T_{ 2 }\)=\frac{1}{\frac{1}{373}+\frac{Mgh}{T\(\triangle {}_{ vap } H\)}}$$
M=28.8×10⁻³[kg/mol],g=9.8[m/s²],h=3776[m],T=273+15=288[K],\(\triangle {}_{ vap } H\)=4.07×10⁴[J/mol]
$$\(T_{ 2 }\)=\frac{1}{\frac{1}{373}+\frac{28.8×10⁻³×9.8×3776}{288×4.07×10⁴\)}}=360.765…[K]$$
富士山頂上での沸点は約361Kで、約88度であることが計算できました。
まとめ
物理化学の化学熱力学の分野で扱われる内容です。記念すべき一回目の記事を作ることができました。数式を書くのが大変でした。また、執筆しながら理解不足に気づいて予想以上に時間がかかってしまいました。次は気圧式についての記事を書きます。